自転車で走行中に道路の穴ぼこが原因で転倒してしまったときの対処法

ロードバイク

自転車で走っているときに、道路に穴ぼこがあったり、段差があったりして危ない目に遭ったことはないですか? 万一転倒してケガをしたり、大事な自転車が壊れてしまったら大変ですよね。

でも、こうした道路の管理がしっかりできていない箇所で転倒してしまったときには、まず道路管理者にキチンと話をすることが大切です。また、道路の管理瑕疵(かし)ということになれば損害賠償を請求することもできます。

今回は、道路の管理瑕疵と損害賠償についてです。

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道路と管理者

道路法で定める道路には、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道があります。

このうち自転車が走行できるのは、一般国道、都道府県道、市町村道ですね。高速自動車国道は自転車走行禁止です。

また、各道路にはそれぞれ「道路管理者」が決まっています。一般国道でも国土交通大臣が管理している区間と都府県(政令市)が管理している区間がありますが、国土交通大臣のところは国土交通省の管理です。

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道路管理者の巡視点検・補修

道路管理者は、日常的に道路を巡視点検して、異常があればただちに必要な対策をとらなければなりません。つまり、道路の安全性を確保しなければいけないんです。

巡視点検の項目には、次のようなものがあります。

  • 路面のひび割れ
  • 落石や崩土
  • 崩壊・沈下・陥没
  • 空き缶や木片・鉄片などの投棄物
  • 動物の死骸
  • 倒木
  • 側溝蓋のすき間やガタつき
  • 道路標識や防護柵・ガードレールなどの破損

投棄物や動物の死骸などは、すぐに片付けることができますが、大きな落石や路面陥没などの場合には補修に時間がかかります。そうしたときには道路を片側交互通行にしたりして対処します。

こうした行政による道路を管理する行為を道路管理といいます。

この道路管理ですが、1日1回程度の頻度でパトロール車(よくある黄色い車)が道路をゆっくり走行しながら巡視点検しています。ですから、巡視していない時間帯に道路にゴミが投げ捨てられたり、落石などが発生することもあるんですね。

また、路面にできた小さな穴を見つけたときに「これくらいなら大丈夫だろう」というような判断で放置されたり、場合によっては小さな異常を見落としてしまうことも考えられます。

道路の管理瑕疵

瑕疵(かし)」って言葉をご存知ですか? 欠点、欠陥、過失などと解釈されますが、"道路が通常有すべき安全性を欠き、他人に被害を及ぼす"と「管理瑕疵」が問われます

例えば、路面に陥没があったことに道路管理者が気づいておらず、そこに自転車がやってきて転倒したようなケースです。

道路の管理瑕疵の多くが、路面の穴ぼこや段差が原因となっています。

先ほどの巡視点検でこうした道路の異常が見つかればいいんですが、ちょっとした異常を見落としたりすると管理瑕疵につながるような事故が発生する可能性がありますね。

具体的にどのような状態の時に管理瑕疵が問われるのかは、個別の事案ごとに判断されるので一概には言えませんが、少なくとも道路管理者は、管理瑕疵が問われることがないように適切に道路を管理しなければなりません。また、管理瑕疵があって第三者に被害が生じたときには、適切に賠償事務を行う必要があります。

管理瑕疵の事例

自転車に乗っていて道路の穴ぼこや段差で転倒した場合、管理瑕疵について裁判で争われるケースがあります。いずれの場合も、

  • 道路管理者は適切に道路を管理していたか
  • 自転車は、道路上の不備や欠陥に気づいて危険を回避することはできなかったか

などが争点になっています。

自転車で走行中に、集水枡の上で転倒し傷害を負った事故について、 道路の設置・管理瑕疵が争われた事例(平成28年4月20日大阪高等裁判所判決)

(事案の要旨)
原告が自転車を運転して被告の管理する集水桝の上を走行した際に転倒し傷害を負ったと主張して、被告に対し、国家賠償法2条1項に基づき、人的損害及び確定遅 延損害金の合計230万4554円並びにうち人的損害の合計206万9276円に対する不法行為の日の翌日である平成22年4月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案。

(判決抜粋)
本件集水枡の北角付近が原告の主張するような急傾斜になっていたとは認められ ず、本件集水枡の北西側コンクリート部分に原告車の車輪がはまり込むような溝ができていたとは 認め難い。一方、本件集水枡の地表面に多少の傾斜があった可能性は否定できないが、原告が主張するような大きな傾斜やくぼみがあったとは認められず、本件集水枡の西角の段差は約2センチメ ートルにも満たなかったことに鑑みると、本件集水枡の形状がとりたてて危険なものであったと評価することはできない。そして、本件集水枡は周囲から容易に目視することができ、これを回避して通行することは十分可能であったこと、本件集水枡において本件事故前に事故が発生したことはなく、被告に苦情が寄せられたこともなかったこと、原告は、本件事故の約25年前から本件事故現場付近に住んでいたが、本件事故時まで本件集水枡について危険性を感じたことはなかったことなども併せれば、本件事故当時、本件集水枡が通常有すべき安全性を欠いていたとはいえない。

よって、原告の請求を棄却する。

ロードレース用自転車で山間部を走行中、道路上にある穴ぼこによって転倒した事故について、道路の管理瑕疵が争われた事例 (平成24年3月13日神戸地裁判決)

(事案の要旨)
足踏み式自転車を運転していた原告が、道路上にある穴ぼこによって転倒して受傷し、かつ、自転車等の損壊の被害を受けたとして、上記道路の管理者である被告に対し、国家賠償法2条に基づき、本件事故により被った損害(人身被害及び物的被害)及び本件事故日である平成22年3月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案。

(判決抜粋)
被告は、原告が本件道路をロードレース用の特殊な原告自転車にて猛スピードで下り降りたことが本件事故の原因である(原告自転車がスリップした可能性がある。)旨主張するが、原告自転車が単にスリップしたとは考え難いし、本件穴ぼこがなければ原告自転車が転倒する可能性は極めて低いといえる。

また、被告は、本件穴ぼこは、なだらかな底面の窪みあるいはアスファルトの剥離であり、自転車等の通行に支障がないこと、本件道路は交通量が少ない山岳道路であり、減速の道路標示やスリップ防止・減速効果のある舗装がされていること、ロードレース用の特殊な自転車で高速度で走行したことが本件事故の主たる原因であるので、そのような自転車が安全に通行できるまでの道路状態を維持することまで道路管理者に求められていないことなどから、一般の通行に支障を及ぼさない程度の管理状況にあったといえ、本件道路の設置又は管理に瑕疵はない旨主張する。

本件事故現場には、本件穴ぼこが存在しており、特に走行安定性の低い二輪車や自転車にとっては、転倒等の原因となり、事故につながる危険性が高いと解されるところ、 本件事故の発生に起因したといえる穴ぼこは、最大深さが6.4㎝の部分から、原告の進行方向である神戸方面側から宝塚方面側に向かって約10㎝進んだ部分では深さが3.0㎝であり、約10㎝の幅において約3.4㎝の段差を原告自転車の車輪が穴ぼこにとられた状態から通過しなければならないこと、自転車は通常道路の左端を走行することが想定されるが、穴ぼこが本件道路の左端から約1mの箇所に存在し自転車や二輪車の車輪が比較的落ち込みやすい場所に存在したこと、本件道路は山岳道路であるといえるが休日には1000台以上の 自動車、20台以上の自転車が走行するのであって、交通量が必ずしも少ないものとはいえないこと、 本件道路は路面全体が舗装された道路であり、本件道路に穴ぼこが存在するということは考えにくい ことなどが認められ、本件道路上の本件穴ぼこは、通行者が通常の注意をすれば容易に危険の発生を 回避し得る程度の軽微な欠陥とはいえないものというべきであるから、被告の上記主張は採用できない。 そして、前記の本件道路の状況、場所的環境、利用状況等諸般の事情を総合考慮すると、本件道路が通常有すべき安全性を欠いているということができ、本件穴ぼこは、本件道路の設置又は管理の瑕疵にあたると認められる。

よって、被告は、原告に対し、528万6851円及びこれに対する平成22年3月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え

自転車に乗っていて、道路の穴ぼこや段差が原因で転倒したときの対処

万一、自転車に乗っていて道路の穴ぼこや段差のところで転倒してしまった場合、道路管理が適切になされていなかったことも考えられます。

ケガを負ってしまったり、自転車が壊れてしまったときなどは、次の対応をおススメします。

  • 転倒した場所と転倒したときの状況を詳細に記録しておく
  • 転倒の原因となった穴ぼこや段差の写真を撮っておく
  • すぐ警察に連絡し、事故の状況や現場の状況を確認してもらうとともに、「交通事故証明書」を発行してもらう
  • すぐ道路管理者に連絡し、事故の状況や現場の状況を確認してもらう(国土交通省の出先事務所、都道府県の出先事務所、市役所や役場など)
  • ケガの程度(医師の診断書)や自転車の被害を記録しておく

ケガの程度や自転車の損傷具合にもよりますが、明らかに道路管理に不備があって転倒したと考えられる場合には、しっかりと道路管理者に状況を伝え、しかるべき対応と責任をとってもらう必要があります。泣き寝入りしたらこっちの損ですからね。

まとめ

せっかくの楽しいサイクリングも、道路の思わぬ穴ぼこや段差で転倒してしまったら台無しです。普段から自転車に乗るときは路面の状況に気をつけながら走行することが大切です。

万一、穴ぼこや段差などが原因で転倒してしまったときは、現場の状況をキチンと記録するとともに、警察や道路管理者に連絡をとって現地で立ち会ってもらうことが重要です。

明らかに道路管理者の管理瑕疵が問われるようなケースであれば、損害賠償を請求することが正しい対処法です。

 


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