KYBのデータ改ざんは地震対策を無視した悪質極まりない行為

リスク管理

油圧機器メーカーのKYB(カヤバ)と子会社が、建物や橋梁などの免震・制振構造に用いるオイルダンパーの性能検査データを15年以上にわたって改ざんしていたというとんでもないニュースが飛び込んできました。KYBといえば自動車の振動を吸収するショックアブソーバでも有名ですよね。
今回、改ざんの疑いのあるものを含めると、全国の自治体庁舎や病院、マンション、そして東京スカイツリーなど計986件の建物で使われていたようです。今、南海トラフ地震などが心配される中、国をあげて防災・減災の対策が検討されていますが、その検討において地震発生時に拠点・中枢となる自治体の庁舎や病院などの免震構造が欠陥部品を用いているということなんです。(本記事は2018年10月18日のものです)

スポンサーリンク

KYBによる免震装置のデータ改ざん事件概要

当社及び当社の子会社が製造した建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為について(2018年10月16日)

KYB株式会社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社は、建築物用の免震・制振部材としてオイルダンパーを製造・販売してまいりました。今般、出荷していた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準に適合していない、またはお客様の基準値を外れた製品を建築物に取り付けていた事実が判明し、国土交通省に報告を行うとともに、対応状況について公表することといたしました。

建築物用の不適合品及び不明の対象物件数及び対象製品数は以下のとおり。

不適合品及び不明の都道府県別・用途別の物件数は以下のとおり。

通常手順と書き換え行為の内容の具体的内容は、以下のとおり。
1)通常手順:性能検査工程において基準値から外れた場合は、製品を分解し、基準値に入るまで調整を実施
2)書き換え行為性能検査工程において基準値から外れた値を書き換えし、検査記録として提出

出典:KYB株式会社ホームページ(今回の不適切行為に関するお詫び

つまり、建物などの免震構造に必要となるオイルダンパーを工場生産し、検査する工程で、基準値から外れた製品の検査データを基準値に入るように改ざんして出荷したということです。さらに、この不適切なオイルダンパーが、東京都庁や大阪府庁、神奈川県庁、愛知県庁、長野市役所、東京スカイツリー、東京駅、六本木ヒルズ、全国のマンションや病院、さらには東京五輪・パラリンピックの競技会場にも設置されていることが分かっています。その数は計986件。これはとんでもない大事件です。

スポンサーリンク

免震・制振構造とは

「免震構造」は、建物と地盤の間にダンパーなどの衝撃吸収材を設置して絶縁し、地震の揺れが建物に伝わりにくくする構造です。地震の揺れを大幅に低減することができるため、家具の転倒などもほとんどなく、公共施設などでも最も多く採用されている構造です。コストがかかりますが最強の構造ですね。

一方、「制振構造」は、建物内部の主要箇所にダンパーを設置して、衝撃を吸収して、建物の揺れを軽減する構造です。

 

まさに読んで字の如くです。「免震」は地震の揺れから免れるもの、「制振」は地震の揺れを制御するもの、そして「耐震」は地震の揺れに耐えるものです。一般の家屋であれば地震対策としては耐震対策が最も多く採用されているのではないでしょうか。柱に筋交いをつけたりする工法ですよね。一方、免震構造にすれば揺れはほとんど感じないのでしょうが、コストが高いのがネックなんでしょうね。私の実家も一昨年に耐震補強工事をしましたが200万円ほどかかりました。

防災の拠点施設にも違法バンパーが使用されている

今、日本は近い将来に発生すると言われている南海トラフ地震や首都直下地震への対策を進めているところですが、今回のKYBのデータ改ざんの対象物件には、東京都庁や愛知県庁、大阪府庁など災害時に拠点となる行政官庁が109施設、さらには交通網の中枢である東京駅や、救命救急の要である消防施設や病院なども含まれているようです(10/17現在)。このような大事な施設の免震構造に欠陥部品が用いられているということです。このことは大規模地震対策に関する備えや具体計画などを根底からひっくり返すくらい影響が大きいと思います。

さらに2020年開催予定の東京五輪・パラリンピックの競技会場にも設置されていることが判明したということです。オリンピック開催中に地震が発生して、建物が倒壊したり海外からのお客さんに犠牲者が出るなどしたら、もう日本はおしまいです。

震度7の激しい揺れに対して、検査基準を満たしていないオイルダンパーが果たしてどこまで耐えることが出来るのかは分かりませんが、少なくともそのような欠陥部品が設置されていること自体が大問題ではないでしょうか。

まとめ(まずは状況確認と早急な対応を)

KYBに対しては、全国のどの施設の、どの部分に、違法ダンパーが設置されているのか、詳細な状況確認を大至急実施していただき、具体的な対策を早急に公表して実行してもらいたいと思います。

最近、「安心安全」というキーワードがあちこちで使われていますが、今回のこの事件はまるでそれに逆行するものですね。許せません。

にほんブログ村 その他生活ブログ 地震・災害へ
にほんブログ村

コメント