落語のマクラに学ぶ、仕事でつかえるスピーチ術

キャリア

私、最近、すっかり落語にハマっておりまして、お気に入りの噺家さんも2~3人います。最初はユーチューブで聞いていたんですが、やはり実物がいいと思い、先日もいそいそと近所の演芸場に行って参りました。

さて、この落語。じつは仕事のスピーチやプレゼンにとても参考になるってことご存知ですか? あの卓越したスピーチで有名な小泉進次郎議員も、落語を聞いてスピーチ力に磨きをかけているんです。今回は、落語のイントロ部分にあたる『マクラ』を活用したスピーチ術について、私の経験を織り交ぜながらご紹介いたします。

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落語のマクラとは

みなさん、落語はお聞きになりますか? テレビでも"笑点"なんかは有名ですよね。桂歌丸師匠なき後、春風亭昇太を6代目司会者に迎え、林家木久扇、三遊亭円楽などいつもの豪華メンバーで、日曜日夕方のひとときを笑いの渦にして楽しませてくれてます。

落語も、古典落語・新作落語といったジャンルがありますが、私が好きなのは新作落語ですね。自由なネタで観客を笑わせてくれるところが最高です。2017年度下半期のNHK連続テレビ小説では、吉本興業の創業者がモデルとなった"わろてんか"も放映され、まさに落語ブーム到来という予感もしますね。

落語は、江戸時代に生まれた大衆芸能です。大阪、京都、江戸あたりでいわゆる噺家(はなしか)と呼ばれる人が活躍し始めて寄席(よせ)が誕生しました。寄席というのは演芸が専門に行なわれる演芸場のことですよ。こうした噺家さんは、ひとりで何役もの登場人物を演じ分けながら、しゃべりのほかに身振りや手振りで物語を進めていきます。道具は扇子と手拭だけを使ってあらゆるシーンを表現します。まさに伝統芸能ですね。

 

この落語ですが、大きく3つのパートで構成されています。マクラ、本題、オチの3つです。落語のイントロであるマクラで会場の雰囲気をつくり、本題で笑わせて、オチで締めるんです。そして、今回のテーマであるマクラですが、落語ではとても大事な役割を担っています。

寄席では次々と芸人さんが入れ替わり登場します。このため、マクラは前に登場した芸人さんのイメージを断ち切って、観客の意識を落語に集中させるための大事な時間帯なんです。噺家さんはいきなり本題には入りません。まずはこのマクラで自己紹介をしたり、ちょっとした小話で観客を笑わせて雰囲気づくりをします。そして、これから始まる本題への導線や最後のオチへ向けた伏線を張るんですね。

噺家さんにとってはとても大事なパートですし、腕の見せ所です。演目によっては、それぞれ使用するマクラは決まっているため、大きな変更はほとんどありませんが、最近では、噺家さんもこのマクラにそれぞれ工夫を凝らしています。それが面白くて落語が好きになり、寄席に通う人も増えているようです。

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マクラを聞けばスピーチが上手くなる

じつは、このマクラには仕事やプライベートでも使えるネタや、プレゼンやスピーチにおける聞き手の心をつかむ話し方、『間』の取り方など、とても参考になるものがたくさん隠されています。私も仕事がら人前で話す機会が多いので、プレゼン資料の作り込み以上に話し方には気を付けるようにしています。そんなとき、このマクラが大変参考になるんですね。

噺家さんも含めて話が上手な人は、プレゼンでいきなり本題に入るのではなく、マクラのようなイントロから入ります。自己紹介、本題につなげるための最近の話題やトピックス、ここにちょっとしたギャグを折りまぜて聴衆の笑いをとり、会場の空気をなごませて、聴衆の関心を自分の方へ向けて場の雰囲気をつくります。

ここまで来たら、プレゼンは半分終わったようなものです。聴衆の意識はすでにプレゼンターに向けられており、「早く話を聞きたいな」「この後どんな話があるのだろう」という心境ではないでしょうか。話のペースも、イントロではゆっくり入って、本題で徐々にスピードアップして終盤にたたみかけ、オチでキュッと締める感じですね。

私もプレゼンをする際にはマクラを参考にしています。簡単な自己紹介の後に世間を賑やかしている話題などを引き合いに出して、そこからスムーズに本題につながるように話のシナリオを事前に考えています。このとき、必ず一つは笑えるネタを仕込んでいますね。オヤジギャグでも何でもいいんです。このイントロ部で会場の関心をいかに自分の方へ向けることができるかが勝負です。

自由民主党の小泉進次郎議員は、スピーチが上手なことで有名です。地方へ演説に行ったときなど、まず、地元の人しか知らないようなローカルな話題やダジャレから入って、あっという間に聴衆の心をつかみます。そして、聴衆やその地域への感謝や賛美の言葉を浴びせかけ、完全に自分の味方につけてしまいます。もうこの段階で演説は成功ですよね。じつは、この小泉議員の圧倒的なプレゼンテーションスキルを支えているのも落語の話術なんです。

 

落語は演説の勉強にもなります。『マクラ』から始まって『オチ』で終わる。演説で言えば『つかみ』と『締め』でしょうか。この最初と最後がビシッと決まってないと演説している側も落ち着きが悪いんです。だからか、落語家の皆さんの『マクラ』と『オチ』には特に集中して聞いてしまう癖があります。勉強になりますよ。
(出典元:小泉進次郎 Official Blog 2010-8-20 落語に学ぶ)

私がハマった新作落語

私が好きなのは、柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)さんの『時そば』という演目です。
この『時そば』、れっきとした古典落語の演目でして、そば屋でお代を払うときに時刻を聞いて釣り銭をごまかした客がいるんですが、それを見ていた他の客が翌日同じように真似しようとしたところ、時刻が早かったために余計にお代を払わされたという江戸っ子の話です。

これまでも多くの噺家たちが演じてきた演目ですが、柳家喬太郎さんのそれはマクラに特徴があるんです。本来なら、自己紹介の後に江戸時代のそば屋のうんちくなどが語られるんですが、柳家喬太郎さんは、駅の立ち食いそばを持ち出して「コロッケ」の話を始めます。

安い冷凍食品のコロッケが揚げられてバットの上に並んでいるところから話は始まるんですが、「ねえ、君たちはどんな風に食べてもらいたい?」「僕はビールのおつまみかなー。」「僕はご飯のおかずがいいね。」とコロッケたちが会話しているところに上からさいばしが降りてきて、そのコロッケはいよいよ食べられるときを迎えるんですが、なんとそばの上に載せられてコロッケそばとして食べられたというお話です。これが面白おかしく、じつに旨そうに話すんで「コロッケそば」を食べたくなるんですね。

こんなこともあって、柳家喬太郎さんの『時そば』は別名『コロッケそば』と呼ばれるようになったわけです。先にご紹介した小泉進次郎議員が親交のある噺家さんが、実はこの柳家喬太郎さんの師匠である柳家さん喬師匠ですね。

まとめ

落語のマクラは、演目によって決まった形で話されることが多いんですが、最近では『コロッケそば』のように身近な話題をマクラに取り入れて、聴衆との距離感を縮めつつ、とても楽しい話をされる噺家さんも増えています。そして、この噺家さんたちの絶妙な話し方、目線、身振り手振りなどを勉強することで、私たちの仕事にもいろいろな場面で活用することができます。

ぜひ皆さんも落語を聞いてみませんか? 私もこれからもっとたくさん落語を聞いて、スピーチ力を上げていきたいと思います。

 


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