大規模な地震が発生し、避難所での生活を余儀なくされたとき、自宅に可愛いペットがいたらどうすればよいのでしょうか?
一緒に避難所へ連れて行くことが出来るのか、あるいは、避難所ヘはペットの持ち込みは禁止なのか。これは飼い主にとって極めて重要な情報です。
今回は、災害時にペットと一緒に避難するための方法についてです。
ペットにも避難計画が必要
震度6弱~7クラスの大規模地震が発生したとき、ご自身や家族の安全確保を最優先で行います。そして、地震の揺れが収まった後、自宅の被害が大きい場合には自宅での生活を継続することができません。地域毎に定められた避難所に行くことになります。そのときに問題になるのがペットです。
以下に示すのは、これまでの災害で実際にあったペットに関する問題です。
災害時には・・・
●家屋の倒壊や倒れた家具によりペットが逃げられず死亡した
●床一面にガラスが飛散し、人もペットも足に怪我を負った
●外飼い猫のため、被災当日から自宅に戻らず同行避難できなかった
●ペットの受け入れ可能な避難所がどこにあるのかわからなかった
避難先では・・・
●避難してしばらく、人の支援物資はあるが、ペットフードの支援は無かった
●避難所で犬が吠えて迷惑をかけるため、やむを得ず車中での避難になった
●糞の放置や毛の飛散などが原因で他の避難者とトラブルとなった
●救援物資のペットフードを食べなくて困った
●犬がケージに慣れていないため、過度なストレスを与えてしまった
●犬がペットシーツに排尿、排便せず、苦労した
●感染症の予防接種をしていないペットが多くいたので感染が心配だった
出典:環境省ホームページ(災害、 あなたとペットは 大丈夫?)より一部抜粋
家族同様に暮らしている犬や猫などのペット。当然、飼い主は一緒に避難所へ連れていきたいと考えます。しかし、全ての避難所がペットの同行避難(一緒に避難すること)を受け入れてくれるかは分かりません。
お住いの地域で指定されている避難所がペットの同行避難が出来るのかどうか、また、その際の留意事項などについて、役所の窓口などに確認しておくことが大切です。
また、避難するときにペットが暴れないように、日頃からキャリーバックやケージに入ることに慣れさせておくことや、避難所で周りの迷惑とならないように基本的なしつけ(食事、トイレなど)をしておくことも重要です。
避難所では、子供からお年寄りまで幅広い層の人が避難生活を送っていますし、中には動物などのペットが苦手な人もいるでしょう。場合によっては、人間が優先されて、ペットは二の次みたいな対応をとられることも考えておかなければなりません。
いざというときに備えて、ペットの避難計画を考えておくことが重要ですね。
人とペットの災害対策ガイドライン
環境省では、これまでの災害時におけるペットの避難状況を踏まえて、『人とペットの災害対策ガイドライン』をまとめています。ここでは、その概要をご紹介します。
平常時に飼い主が行なうべき対策
1.住まいや 飼養場所の防災対策
□ 家具やケージの固定、転倒防止、落下防止
□ 屋外飼養の場合は、飼養場所の安全確認
□ ケージなどペットの避難場所の確保2.ペットのしつけと健康管理
<犬の場合>
□ 「 待て」「おいで」「お座り」「伏せ」などの基本的なしつけをする
□ ケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく
□ 不必要に吠えないようにしつける
□ 人や他の動物を怖がったり攻撃的にならないように慣らしておく
□ 決められた場所で排泄ができるようにする
□ 狂犬病予防接種(義務)に加え各種ワクチンを接種する
□ 犬フィラリアやノミ・ダニなどの寄生虫を予防、駆除する
□ シャンプーやトリミングにより身体を清潔に保つ
□ 不妊去勢措置を行う<猫の場合>
□ ケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく
□ 人や他の動物を怖がらないように慣らしておく
□ 決められた場所で排泄ができるようにする
□ 各種ワクチンを接種する
□ 寄生虫を駆除する
□ 不妊去勢措置を行う
□ できる限り室内で飼養する3.ペットが行方不明にならないための対策
<犬の場合>
□ 首輪と迷子札
□ 鑑札、狂犬病予防注射済票
□ マイクロチップ<猫の場合>
□ 首輪と迷子札
□ マイクロチップ4.ペット用の避難用品や備蓄品の確保
<優先順位1 動物の健康や命に係わるもの>
□ 療法食、薬
□ ペットフード、水
□ キャリーバッグやケージ
□ 予備の首輪、リード
□ ペットシーツ
□ 排泄物の処理用具
□ トイレ用品
□ 食器<優先順位2 情報>
□ 飼い主の連絡先と、ペットに関した飼い主以外の緊急連絡先・預け先などの情報
□ ペットの写真
□ ワクチン接種状況、既往症、投薬中の薬情報、検査結果、健康状態、 かかりつけの動物病院などの情報<優先順位3 ペット用品>
□ タオル、ブラシ
□ ウェットタオルや清浄綿
□ ビニール袋
□ お気に入りのおもちゃなど匂いがついた用品
□ 洗濯ネットなど
□ ガムテープやマジック5.情報収集と避難訓練
□ ハザードマップでの危険箇所の把握
□ ペットの受入れが可能な指定避難所の把握
□ 指定緊急避難場所、指定避難所までの所要時間の確認、 ガラスの破損や看板落下などの危険な場所の把握
□ 通行できないときの迂回路の確認
□ 指定避難所でのペットの反応や行動の把握
□ 指定避難所での動物が苦手な人への配慮
□ 指定避難所での飼養環境の確認
□ 指定避難所が被災している場合の二次避難先の想定
□ 災害の種類(津波など)により避難所が危険な地域にある場合の二次避難先の想定
□ 事情により避難所(建物内外とも)へのペットの同行が不可能になった場合の避難先や預け先の想定6.家族や地域住民との連携
□ 連絡方法や集合場所
□ ペットの避難方法や役割分担
□ 留守中の対処方法と協力体制
□ 緊急時のペットの預け先の確保
□ 物資の持ちよりや共同飼養などの申し合わせ7. ペットの一時預け先の確保
□ 指定避難所などでの飼養以外にも、親戚や友人など、複数の一時預け先を探しておくことが望ましい
災害発生時に飼い主が行うべき行動
1.ペットとの同行避難
<犬の場合>
□ リードを付け、首輪が緩んでいないか、鑑札、狂犬病予防注射済票を装着しているかを確認
□ 小型犬はリードをつけた上で、キャリーバッグやケージに入れる
□ 避難用品を持って指定緊急避難場所へ向かう<猫の場合>
□ キャリーバッグやケージに入れる
□ キャリーバッグなどの扉が開いて猫が逸走しないようにガムテープなどで固定するとよい
□ 避難用品を持って指定緊急避難場所2. 避難中のペットの飼養環境の確保
<避難所での飼養>
□ 各避難所が定めたルールに従い、飼い主が責任を持って世話をする
□ 飼養環境の維持管理には、飼い主同士が助け合い、協力することが必要 自宅で飼養する
□ 支援物資や情報は、必要に応じ指定避難所などに取りに行く<車の中で飼養する>
□ 支援物資や情報は、必要に応じて指定避難所などに取りに行く
□ ペットだけを車中に残すときは、車内の温度に常に注意し、十分な飲み水を用意しておく
□ 長時間、車を離れる場合には、ペットを安全な飼養場所に移動させる<知人や施設などに預ける>
□ 被害がおよぶ可能性が低い遠方の知人に預けることも検討しておく
□ 施設に預ける場合は、条件や期間、費用などを確認し、後でトラブルが生じないよう、 覚書などを取り交わすようにする出典:環境省ホームページ(災害、 あなたとペットは 大丈夫?)より一部抜粋
いざというときに備えて、ペットのしつけ、行方不明にならないための対策、避難用品や備蓄品、避難場所などの情報収集、こうしたことを日頃から準備しておくことが大切なんですね。
ペット用の防災グッズを準備
地震発生後から3日間程度は、避難所にペット用の支援品が届かないケースが想定されます。ペットも食事を摂りますし、排泄もします。人間と同じように、避難生活をいかに快適にしてあげるかでストレスのかかり方も大きく違ってきます。そこで、ペット用の防災グッズを準備しておくことをおススメします。人間と同じように最低3日分の確保を考えるのが良いと思います。
ここでは、犬と猫を対象にペット用の防災グッズを考えます。
バッグ
避難所までの道のりを安全に避難するためにも、ペットをバッグに入れてあげることが大切です。日頃からバッグに入ることをトレーニングしておくと良いのではないでしょうか。
食事
基本的に、いつも食べているものを避難所に持ち込むことが良いと思います。ワンちゃんやネコちゃんも、急にいつもと違うご飯を出されたら戸惑いますよね。そういうことを考えると、ペット用の食事も日頃から備蓄しておく必要がありますね。
トイレ
ペット用のトイレがあると、安心できますよね。ペットとの避難生活を快適にするために、日頃からトイレのしつけなどもしておくと良いですね。
まとめ
災害時、可愛いペットと一緒に避難するためには、日頃からの準備が大切ですね。ペット受け入れ可能な避難所はどこか、確実に一緒に避難するための準備、食事やトイレの準備、避難所生活で周りに迷惑をかけないためのしつけ、こうしたことを少しずつでもやっておけば、いざというときに慌てずに済むと思います。
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