みなさん、「錯視(さくし)」って言葉をご存じですか?
錯視っていうのは「目の錯覚」のことです。同じ長さのものが違って見える「形の錯視」、同じ明るさのものが異なる明るさに見える「明るさの錯視」、色が違って見える「色の錯視」、さらに静止画が動いて見える「動く錯視」などがあります。
例えば、次の絵を見たときにどちらの線が長いと思いますか?
縦線の方が長く見えませんか? でも、じつは2本の線の長さは同じなんです。こういうのを「錯視」っていうんですね。錯視にはいろいろなものがあるんですけど、最初に発見されたのがこの2本の線の組み合わせで「フィック錯視」と呼ばれていますよ。
今回は、「錯視」についてです。
「錯視(さくし)」は目の錯覚

錯視とは、視覚に関する錯覚のことです。
俗に「目の錯覚」ともよばれます。生理的錯覚に属するもの、特に幾何学的錯視については多くの種類が知られています。ただし、だまし絵とは異なる原理によります。
出典:ウィキペディア
人間の視覚は必ずしも正確ではありません。目で見た情報を、脳が勝手に推測したり補完することによって、ときどき実際のものと違うように見えてしまうことがあるんです。
例えば、次の絵を見たときにどうお感じになりますか? 上の絵の方が横線が短く、下の絵の方が横線が長く見えませんか? でも、横線の長さは同じなんです。これを「ミュラー・リヤー錯視」と呼びます。錯視の名称は発見した人の名前が付けられているケースが多いですね。
実際のところ、目の働きではなく、脳の働きが原因になっていることが多いみたいなんです。つまり、錯視は「目の錯覚」というよりも「脳の錯覚」であるということです。
- 同じ長さなのに片方は長く、もう片方は短く見える
- 止まっているものが動いて見える
こういう現象が錯視になりますよ。
京急電鉄の新たな案内サイン
先日、京急電鉄の羽田空港国際線ターミナル駅に錯視を利用した「案内サイン」が全国で初めて登場しました。床に平面上に貼り付けた案内サインを錯視によって立体的に見せることで乗客を一定方向へ誘導するものです。
この場所では、改札の正面にエスカレーターが見えるために、スーツケースのような大きな荷物を持った多くの乗客が、すぐ横手にあるエレベーターに気づかずにエスカレーターに向かうらしいんですね。そのためにエスカレーター付近でたびたび事故も起きていたようなんです。
京急電鉄によると、鉄道駅に錯視を利用した案内サインを導入したのは全国初ということですね。こういうサインであれば、言語が異なる訪日外国人の皆さんにも有効です。日本はインバウンド(訪日外国人旅行)の拡大を進めていますから、これまでの音声や文字の案内方法に代わる新たな方法として期待されています。
どう見ても、立体的な案内サインとしか見えませんから、錯視の技術には驚かされます。これだったら、いろいろな場所で使えそうですね。
錯視のいろいろ
ツェルナー錯視
長い線は傾いているように見えますが、じつは4本とも平行なんです。ドイツの物理学者ツェルナーが1860年に報告した錯視図形ですね。
デルブーフ錯視
左の小さな円と右の円を比べると、左の方が大きく見えませんか? じつは円の大きさは同じなんですね。ベルギーの哲学者デルブーフが1865年に考案したと言われています。
デルブーフ錯視では、円の回りを小さな円で囲むと中心の円は大きく見えて、逆に回りをとても大きな円で囲むと、中心の円が小さく見えます。
これは、メガネ選びにも活用できますよ。フレームの色が薄く細いものよりも、色が濃く太いものの方が目が大きく見えるんです。「目を大きく見せたいな」って人はぜひ参考にしてください。
まとめ
錯視って面白いですね。目で見たものが、目や脳の働きによって錯覚となり、違った形に見えたりするんです。
今回、鉄道駅に錯視を利用した「案内サイン」が全国初登場したわけですが、今後ますます利用価値がありそうですね。
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