『タイムライン』という言葉を聞いたことありますか? 日本語では『事前防災行動計画』とも呼ばれていますが、地震災害や水害などについて、あらかじめどういう事態が起きるのかを想定した上で、"命を守るためにどう行動すれば良いのか"を時系列で整理しておくものです。
行政や防災機関はもとより、各家庭でもタイムラインをつくっておけば、いざというときに「どう行動すればよいか」、「自分の役割は何か」が分かるので、慌てること無く適切な行動ができるのではないでしょうか。
今回は、タイムラインについて考えます。
過去の地震からの教訓
過去の地震をみると、地震が起きた瞬間にみな慌ててしまって、何をすればよいのか分からない状況に陥ってしまったような状況がうかがえます。
そのような中、倒壊した建物の下敷きになって助けを求めている人や、津波に飲み込まれてガレキにつかまって漂流しているような人たちの救助が遅れて、尊い人命が犠牲になったという状況もあります。
つまり、多くの人が地震発生直後にどう行動すれば良いのかを理解できていないってことですね。
東日本大震災(2011年)でいえば、海溝型地震が発生して大津波が襲来するおそれがあったにも関わらず、多くの人が避難せずに自宅やビルの屋上などで犠牲になっています。地震の揺れが収まったときにすぐに高台へ避難すればたくさんの命が救われたのは紛れもない事実だと思いますね。
ハード対策だけでは人命は守れない
地震に対して家屋やビルの耐震対策をおこなったり、津波に対して防波堤を高く強固なものにするといったハード対策はとても効果的だと思います。でも、こうしたハード対策も予算の制約があったりして一気にはできません。
ハード対策にも限界があるってことですね。そこで重要になるのがソフト対策です。
ソフト対策っていうのは、構造物に頼らない対策ですね。地震が起きたときに自宅の周りのどこが危険なのかをあらかじめハザードマップで調べておいたり、地震の揺れから身体を守る方法を身につけておく。そしてこれが一番重要なんですが、危険を感じたらただちに安全な場所に逃げるというようなものです。
このハード対策とソフト対策を自動車の両輪に見立てて、「行政・学識者・住民などが一緒になって地震への備えを進めましょう!」というのが日本の防災の考え方ですね。
地震タイムラインとは
こうした中、地震による犠牲者を減らすソフト対策の切り札が『タイムライン』です。
あらかじめ、地震の発生前~発生時~発生後にわたって、私たち一人一人が何をすれば良いのか、どう行動すればよいのかを詳細に時系列で決めておくことで、いざというときにパニックにならずに適切に行動できるようにするものです。
地震はいつ起こるか分かりません。地震の予知や予測はいまの技術力では不可能です。緊急地震速報が鳴っても時間の猶予は数秒しかありません。
- 地震が起きる前に何を準備すればよいのか
- 地震が起きた瞬間、どう身体を守ればよいのか
- 地震の揺れが収まった後、何をすればよいのか
- 避難所へ避難するにあたり、避難経路と避難場所はどこなのか
こうしたことをできるだけ細かく、地震発生から○時間後、○日後というように時系列で整理して『タイムライン』をつくっておくことが有効だと思います。このとき、ご家族と相談しながら作業すれば、防災に対する意識も高まると思いますよ。

茨城県常総市のホームページに分かりやすいタイムラインの事例がありますのでぜひ参考にしてください。
常総市 わが家の防災ガイドブック
http://www.city.joso.lg.jp/jumin/anzen/bosai/1522649501247.html
まとめ
地震はいつ起こるか分かりません。突然の地震によって断水や停電も考えられます。そういうときこそ落ち着いて冷静に行動することが大切です。
地震が起きる前の準備、地震が起きたその瞬間の行動、地震の揺れが収まった後の行動、こうした行動を慌てず適切にできるようにご家族とも相談しながら『我が家のタイムライン』をつくっておくと良いと思いますよ。
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